歯科コラム

埼玉県で働く歯科医師数と歯科医院数は

埼玉県は東京都の北に位置し、東京のベッドタウンとして全国でも有数の人口を誇る都道府県です。人口は約71万人で、全国第5位(2010年時点)。近年増加傾向にあり、アウトレットやショッピングモール建設など、都市開発も積極的に行われていることによって、ますます人口増が活発になる見込みです。人口密集地には医療機関も多く存在すると考えられますが、実際の数値はどうなっているのでしょうか。

医療機関数と人口の相関

医療機関数と人口の相関
人口の多いところには医療機関も当然多く、診療所(※1)数は4,114軒の全国第7位となっています。これは歯科医院も同様で、歯科診療所(※2)数は3,437軒の全国第5位となっています。診療所数, 歯科診療所数ともに増加傾向にあり、人口の増加に伴って、医療機関も増えていることがわかります。

(※1)診療所:医師が医療行為を行う場所で、患者の入院施設を有しないもの又は患者19人以下の入院 施設を有するものを指します。
(※2)歯科診療所:歯科医師が歯科医業を行う場所で、患者の入院施設を有しないもの又は患者19人以下の入院施設を有するものを指します。

しかし、人口10万人あたりの診療所数は、55.7施設となっており、これは全国平均の77.6と比較してもかなり少ないことがわかります。全国第47位です。これは歯科診療所も同様で、人口10万人対46.9施設となっており、全国平均の53.1施設より少なくなっています。こちらは、全国第24位です。
歯科診療所に関して、保健医療圏別に人口10万人に対する施設数を見た場合、下記のようになっています。

さいたま市  52.6
南部  49.7
川越比企   46.7
北部  46.7
東部   46.6
利根  46.1
秩父  46.0
西部  44.4
県央  42.6
南西部  41.3

上記から分かる通り、どの区分に関しても10万人あたりの歯科診療所数は全国平均より少なく、一番多いさいたま市でも、52.6で全国平均の53.1より0.5ほど下回っています。これより、特定の地域に医療施設が集中しているわけではなく、県を通して全体的に数が足りていないことが見て取れます。診療所, 歯科診療所ともに年々、数は増えているものの、人口の増加率には追いついていません。また、埼玉県は将来的に高齢者人口が急速に増加することが予測されるため、医療体制の脆弱さを一刻も早く改善する必要があると考えられます。

埼玉県の医療従事者数

埼玉県の医療従事者の内、医師の数は10,393人で前年度と比較しても、増加傾向にあります。対して、人口10万人あたりの医師数は146.1人で、全国平均の224.5と比較すると78.4人少なくなっており、人口10万人あたりの診療所数と同じく全国第47位となっています。
歯科診療所の従事者を見ていくと、歯科診療所の従事者総数は14,302人であり、これを職種別にみると、歯科医師の4,648人が最も多く、次点に歯科業務補助者の4,645人、歯科衛生士の3,052人と続きます。
歯科診療所1施設当たりの従事者数は4.3人であり、これは全国平均の4.4人と比較すると0.1人尐なくなっています。人口10万人あたりの従事者数は歯科医師が65.3, 歯科衛生士が42.9, 歯科技工士が3.7となっていますがいずれも全国平均を下回っており、診療所数と同様に人口に対して医療従事者も不足していることがわかります。

埼玉県の取り組み

埼玉県の取り組み
これまでのデータより明らかなように、現在埼玉県では、人口に対する医療の十分な提供が出来ていません。さいたま市ではこれを自治体の問題と捉え、「さいたま市医療ビジョン研究会委員」 を設置し、医療提供体制を整えようとしています。
主な取り組みは、
・医療機能の分化・連携の推進
・在宅医療の推進
・医療従事者の確保と育成
・救急医療体制の整備推進
などが挙げられます。これらの取り組みによって、県民及び市民に対する十分な医療の提供と、今後やってくる急激な高齢化への対策を行います。現在、埼玉県の人口分布は40歳~49歳が一番多く、次が30歳~39歳となっています。これらの年代が高齢者になる30~40年後に備えて、医療体制を整えなければなりません。

医療機能の分化・連携の推進

より質の高い医療の提供のために、病院間の連携や機能分担が必要だと委員会は考えています。限りある医療資源を活用するために、大病院にむやみに患者が集中することを避け、軽症や判断が出来ない場合は、一旦、かかりつけ医を受診することを推奨していきます。また、病院同士が連携することで不足している機能を相互補完することを目指します。また、かかりつけ医を持つことによるメリットも市民に提唱して行きます。かかりつけ医は過去の病歴や普段の健康状態などを把握しているので、困った時に相談がしやすく、市民にとって身近な存在となります。

在宅医療の推進

在宅医療の推進
高齢化社会に伴って在宅医療の需要が増えることを見込み、在宅医療体制を整えることを目指します。介護や福祉施設とも連携し、1医師の負担が過剰にならないような体制を構築します。また、在宅での治療が可能になることで、早期退院を促し、医療費の高騰や病床不足も改善することが出来ます。

医療従事者の確保と育成

今後、総合診療医の役割が非常に重要になると考えられますが、現在、総合診療医の育成機関が少ないため、市で研修プログラムなどを組み、総合診療医の育成を行います。これにより、身近な病院がかかりつけ医として機能するため、患者を分散させる事ができます。

救急医療体制の整備推進

高齢者の増加により、救急搬送患者が増えることが予想されますが、むやみな救急車の利用は避け、必要か不必要かを家庭内で判断できるように啓蒙活動を行います。救急電話相談の対応窓口などを設け、救急車を呼ぶ前にまず相談できる体制を整えます。これにより救急医療の疲弊や混雑を防ぎます。

まとめ

このように埼玉県は、医師や歯科医師, 診療所の数だけ見れば、一見多いと思われましたが、人口10万人あたりの数は全国でも下位の値でした。人口に対する十分な医療, 歯科医療環境がない状態を問題と認識し、行政は改善を図っています。得に、歯科医院に関しては全国的に競争激化が進んでいるようですが、このように人口あたりで見れば、不足している地域もあるということが明らかになりました。診療所も含めて不足が起きているようなので、新たな開業後としては埼玉県が最適かも知れません。