歯科コラム
歯科医院で提供すべき医療接遇「思いやりの心」とは

患者が歯科医院に求めるものは、決して治療技術だけではありません。技術と併せて望んでいるのは、患者に対する「思いやりの心」です。昨今では、医療接遇の良し悪しが集患に影響すると言われています。そこで今回は、歯科医療現場で必要な思いやり(ホスピタリティ)について考えてみましょう。
医療接遇とはなにか?
歯科医療においては、どの患者にも同じ振る舞いをするわけではありません。その方が何を望んでいるのか、どうしたら痛みや不安を取り除いてあげられるのか、患者ひとりひとりの立場に立って寄り添える心遣いが大切だということを忘れてはならないでしょう。
なぜ医療接遇が重要視されるようになったのか
すぐれた医療接遇は、患者の自費率やリピート率を上げるだけでなく、スタッフ間での思いやりの心も生まれ、人間関係のトラブルが起こりにくい傾向にあるようです。歯科医院全体の印象が良くなれば増患に繋がり、医院経営にも左右する重要なポイントです。接遇の良し悪しが、歯科医院の未来を決定づけると言っても過言ではないでしょう。
患者の立場に立った医療接遇のポイント

■挨拶は笑顔で明るく
第一印象は、出会った瞬間で決まると言われています。患者は、扉を開けた瞬間にスタッフの明るい笑顔と挨拶で迎えられれば、それだけで不安や緊張は和らぐものです。患者と目を合わせ、微笑んで軽く会釈をする心の余裕が大切です。
■正しく丁寧な日本語をつかう
接遇を意識するあまり、過剰な敬語を使ったり誤った日本語を話したりしては台無しです。ときには、患者との距離を近づけるためにも、話し方や言葉遣いを使い分けるスキルも身に付けておくとよいでしょう。
■患者の名前を呼ぶ
患者は、自分の名前を呼ばれると安心するものです。「○○さん、おはようございます。」「○○さん、どうぞお大事にしてください。」など、挨拶に名前を添えることで、お互いの信頼関係が築きやすくなる傾向にあります。
■労いの気持ちと言葉を忘れない
医療機関を受診する患者は、誰しも不安を抱えているものです。待合室で治療の順番を待ったり、診察室では緊張の連続だったり、精神的にも肉体的にも疲れているでしょう。「お待たせして申し訳ありません。」「お疲れ様でした。お掛けになって、少しおやすみください。」など、相手を労う一言は患者の心を和ませます。
■患者の目を見て会話をする
人とのコミュニケーションは、目を合わせて会話をすることが基本です。また、目線を同じ位置に合わせることも重要なポイントです。忙しさを理由に、患者を見ずに診察券を受け取るような歯科医院に、魅力は感じないでしょう。
目を合わせ、患者の気持ちを読み解くような心遣いが大切です。また、積極的な声がけを続けると、お互いを認識することで信頼関係が生まれ、患者が抱える歯科治療への悩みや要望を引き出しやすくするメリットもあります。
患者の満足度につながる「おもてなし」
■患者の目線に立って治療を考える
スタッフにとっては、多くの患者の中のひとりに過ぎないかもしれませんが、患者には唯一の存在だということを忘れてはいけません。だからこそ、治療技術はもちろんですが、患者の不安や疑問を一緒に解決し、寄り添った診療を心がけることが大切です。口角を強い力で引っ張られたり、長時間口を開けていることに気づいてもらえなかったり、様々な場面で我慢をしている患者も少なくありません。ときには、自身が患者になって、問題に気づく機会を作ることも大切です。
■歯も心も健康に
歯科医院では、歯の治療や予防処置だけではなく、患者の心の健康も願っています。歯にコンプレックスがあると、笑顔が作りにくかったり、手で口元を隠したりしてしまうこともあるでしょう。きれいな歯と笑顔は、第一印象を左右する大事な要素です。歯の治療とともに、患者の笑顔を引き出すこともスタッフの仕事です。そのためには、スタッフ自身も魅力的な笑顔を絶やさない努力が必要でしょう。
■患者から得た情報はスタッフで共有
スタッフ同士の連携を徹底し、患者からの情報を共有して治療にあたることが重要です。カルテの情報だけではなく、会話の中から得られたものは今後の治療にも大きく役立ちます。
■話し方や立ち居振る舞いを考える
年齢層により、話し方にも工夫が必要です。耳の遠い方には、大きな声で話すよりも筆談の方がいい場合もあります。また、状況に応じて声のトーンやスピード、表情を変え、プライバシーへの配慮も怠ってはいけません。
テキパキと仕事をこなすときもあれば、相手を思いやりながらゆっくり行動することもある、その場に敵した振る舞いを大切にします。
患者に寄り添う医療人であるための心得

患者の話に耳を傾け、気持ちに共感を示すことで、「話して良かった」「この歯科医院を選んで良かった」と繫がっていくものです。この行動が、当たり前にできる医療人でなければならないでしょう。
また来院したい!選ばれる歯科医院を目指して