歯科コラム

現在の歯科医院での職務範囲は大丈夫?歯科衛生士と歯科助手の担当業務について

歯科衛生士や歯科助手の業務内容は、勤務する歯科医院によって大きく異なる場合があります。中には「歯科衛生士がここまでやっても大丈夫な内容か」「これって本当に歯科助手の仕事なのか」と疑問を抱きながら働いている方も少なくないでしょう。

そこで今回は歯科衛生士と歯科助手の職務範囲について詳しくご紹介したいと思います。今の担当業務に不安のある方、これから転職を考える方の参考になれば幸いです。

歯科衛生士の職務範囲

歯科衛生士の職務範囲
歯科衛生士は国によって定められた資格試験に合格し、国家資格を与えられた人のみが従事できる歯科医療職です。そのため歯科衛生士の職務内容は歯科衛生士法という法律によって厳密に定められています。

■歯科衛生士が担当する業務とは
歯科衛生士の仕事は歯科衛生士法第2条において①歯科予防処置②歯科診療の補助③歯科保健活動の3つが定められています。

①歯科予防処置
歯科予防処置にはスケーリング・ルートプレーニング、PMTCといった口腔内のクリーニングや、虫歯予防のフッ素塗布などが含まれます。またホワイトニングも歯科衛生士の担当業務の1つです。

②歯科診療の補助
歯科衛生士は歯科医師が行う診療の補助を行うとともに、歯科医師の指導のもと一部の歯科診療を行うことが認められています。

しかしこの部分が拡大解釈されてしまい、実際はやってはいけない歯科診療を歯科衛生士が行っている歯科医院も少なくはないようです。またその解釈にはグレーゾーンな部分が多いことも、歯科医院によって歯科衛生士の職務内容が異なってしまう原因でしょう。

過去に日本歯科医師会が示した「一部の歯科診療」の目安には、以下の項目が挙げられています。
・仮封及びその除去
・対合の印象(スナップ印象)
・補綴物装着後のセメント除去
・レントゲン撮影の準備
・矯正装置の除去

その他に、歯科医師の指示ののもとであれば患者様に医薬品を提供したり、医薬品の指示を行うことは認められています。(歯科衛生士法第13条の2)

③歯科保健活動
歯科疾患の予防を目的とした保険指導も歯科衛生士の仕事の1つです。具体的には歯磨き指導(TBI)や生活習慣の指導、食育の支援、口腔機能訓練の指導などがあります。

■歯科衛生士が行ってはいけない業務
歯科衛生士は上記に挙げた以外の歯科医療行為を行うことが禁じられています。具体的には、歯を削ることや根管治療、補綴物の調整や装着、仮歯の作製、義歯の調整などです。

またレントゲンに関しても、セッティングなどの準備までは問題ありませんが、撮影すること(撮影ボタンを押すこと)は認められていないので注意しましょう。

歯科助手の職務範囲

歯科助手の職務範囲
歯科助手は国によって定められた資格はありませんが、民間の歯科助手養成所や通信教育などで専門的な知識を身に着けることができます。また日本歯科医師会による歯科助手資格認定制度など、民間資格の取得は可能です。

国家資格ではないため歯科助手の職務を規定する法律などはありません。しかし業務範囲を超えてしまうと、歯科医師法または歯科衛生士法を違反する可能性があるため注意が必要です。

■歯科助手が担当する業務とは
歯科助手の担当業務は以下のような内容となります。

①受付・予約対応
歯科助手が担当する業務には、主に事務的な内容が含まれます。歯科医療との直接的な関係はありませんが、受付や電話での対応や来院した患者様の誘導など、医院の中で患者様に最初に接する機会の多い仕事です。そのため歯科医院にとっては看板的な存在といっても過言ではないでしょう。

またカルテの整理や予約管理など、歯科医院を運営するうえで重要な仕事にも携わることも多く、業務に対する強い責任感が求められます。

②器具の管理・消毒・準備
治療に使用する器具を消毒したり、管理をしたりするのも歯科助手の業務の1つです。また診療が始まる前に必要な器具を準備するためには、どんな処置の時にどの器具が必要なのかといった基礎知識も求められます。その他に、診療終了後の器具の片づけ、室内の清掃なども業務内容に含まれます。

③歯科診療の補助
歯科助手は患者様の口の中に直接触れる行為はできませんが、それ以外の診療補助を行うことは一部認められています。具体的には、バキュームによる唾液の吸引や口元を照らすライトの調整、印象材やセメントの練和、器具の手渡しなどが含まれます。

■歯科助手が行ってはいけない業務
歯科助手は歯科医師または歯科衛生士の業務を行うことはできません。ただ残念なことに、歯科医院によっては歯科衛生士と歯科助手の線引きが曖昧なところもあります。

ベテランの歯科助手の方であれば歯科に関する知識や経験も豊富で、経験の浅い歯科衛生士より頼もしい面があることも確かです。しかし、基本的に歯科助手が患者様の口腔内に触れる行為は法律で禁止されているため注意しましょう。

職務範囲を超えてしまったら罪になるの?

歯科衛生士も歯科助手も、その職務範囲の多くが勤務する歯科医院の経営者に委ねられているのが実状です。そのため、本当は禁じられている医療行為を業務として強いられてしまうケースも珍しくありません。

ただ法律上において、資格者でないものが職務範囲を超えた業務を行った場合には罪が課せられるようになっています。そのため歯科医院で勤務するにあたっては、自身の職務範囲をしっかり把握しておくことが大切です。

■歯科医師でないものが歯科医業を行った場合:歯科医師法違反
歯科医師法第29条には歯科医師の資格を持たない者が歯科医業を行った場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることが記載されています。

■歯科衛生士でないものが歯科衛生士業を行った場合:歯科衛生士法違反
歯科衛生士法第14条には歯科衛生士の資格を持たない者が歯科衛生士業務を行った場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることが記載されています。

職務範囲をしっかり守ることは歯科医院のクオリティUPに繋がる

歯科衛生士や歯科助手の方が勤務先を選ぶ際、歯科医院によって業務内容が異なることはなにより悩ましいことだと思います。ただ真面目に仕事をこなす人ほど罪悪感にさいなまれるという職場は、長く勤める場所としてふさわしいとは言えません。

歯科医療はチーム医療で成り立っていますが、各々の職務範囲をきちんと分けておくこともとても大切です。自身に与えられる職務を全うすることは個々の仕事に対するプライドや仕事の質を高め、ひいては医院全体のクオリティを高めることにもつながります。

当院はこの考えのもと、歯科医療に携わるすべての人が自身の業務に集中できる環境づくりに取り組んでおります。興味をお持ちの方は見学や相談など随時受け付けておりますので、ぜひお気軽にお尋ねください。